櫻田武です。
脳の記憶のタイプのひとつに、「プライミング記憶」というものがあります。
プライミング記憶というのは、前に入力された情報が、そのあとの情報に影響を与えるような記憶で、「入れ知恵記憶」とも呼ばれています。
例えば、自分で打ったタイピングミスがなかなか発見できないのも、プライミング効果が強く働いて先入観にとらわれるからです。
先入観というとなんだか悪いことだらけのように聞こえますが、決してそんなことはありません。
例えば、相手と話をしているときに、「○○なんですけど...」と相手が言ってきたら何かしら否定的な意見を言ってくることが推測できますよね。
なぜなら、語尾が「・・・けど」という否定表現になっているからです。
これはひとつの例ですが、このようにプライミング記憶を蓄積しておくことで、相手とのコミュニケーションも円滑に進めることができます。
言葉の接続詞も、広義で言えばプライミング記憶の一種となります。
接続詞だけではありません。
相手の言葉をしっかり聴いていれば、相手がどのような欲求をもっているのかもわかります。
例えば、あなたがパートナーとランチをしようと思ったとき、「何食べよっかー?」という会話になったとします。
そこで初めてランチの内容を考えることが多いかと思いますが、それまでに相手の話を注意深く聴いていると、実はすでに何を食べたいのかのヒントを発していることがほとんどです。
言葉を注意深く聴いていると、実はそのヒントをたくさん出してくれています。
そこですかさず、相手が発している言葉を注意深くきいて、そのヒントを逃さずに、「今日食べたいのは○○でしょう?」と提案してみてください。
「何でわかったの!?」
と相手から感動され、よりコミュニケーションの質が深まります。
このように、相手が発した言葉から何を欲しているのかを読み解くということも、広義のプライミング記憶の一種だと言えます。
そして、勘の鋭い方はすでにお気づきになられたかと思いますが、このプライミング記憶を磨くことは実は様々な営業の場面に役立ちます。
相手が言葉にしていないことを読み取ることができるので、マインド・リーディングに近い印象を持たれることもあります。
しかし、特殊な技術ではなく、脳科学的にはプライミング記憶を効果的に活用しているだけなのです。
私はコンサルティングの現場でも、このプライミング記憶を最大限に活用しています。
そうすると、相手の次の発言や行動を精度高く読み取れるため、前もって準備ができるようになります。
あなたもこのプライミング記憶を意識して磨いてみてください。
きっと話の聴き方にも大きな変化が表れるはずです。
それでは、また。
今日もありがとうございました。
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私の脳科学の師匠です。
・記憶力を強くする―最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方 (ブルーバックス) (日本語) 新書 – 池谷 裕二 (著)
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